マンション修繕受注調整問題 公取委が複数会社に立ち入り検査
朝日新聞記事 マンション修繕の発注先は「談合の検査対象」 住民「心身ボロボロ」 高島曜介 小寺陽一郎2025年3月31日 5時00分 吹き出しアイコン古谷経衡さんの 古谷経衡さん 公正取引委員会 マンション修繕工事を巡る大規模な談合の疑いが浮上した。公正取引委員会の調査対象には、工事業者に加え、設計コンサルタント業者も含まれる。高額な修繕を依頼する住民たちは、不正疑惑に戸惑いを隠せない。 マンション修繕談合、清水建設子会社に立ち入り コンサル業者も調査 東京都内の築約40年のマンションで30日、管理組合の臨時総会があった。3回目の大規模修繕工事を今夏に控え、業者と金額を決める場だ。 記事の後半では、工事業者と設計コンサルに関する国の注意喚起や、公取委が談合の疑いで立ち入り検査した工事業者も報じます。 「発注先候補の業者が、公取委から立ち入り検査を受けたことを数週間前に確認した」。住民によると、管理組合の修繕委員長が冒頭、こう明かした。 「大変なことではないか。業者が処分を受けたらどうするのか」などと質問が出た。だが、 「業者が談合で処分されるとしても数年先のこと」と言われ、 そのまま発注の議案は賛成過半数で評決され、業者も決まった。
マンション修繕受注調整問題 公取委が複数会社に立ち入り検査
NHK 2025年3月31日 5時38分
関東地方のマンションの老朽化などに伴う大規模修繕工事をめぐり、施工会社およそ20社が受注調整を行っていた疑いがもたれている問題で、
公正取引委員会が新たに複数の会社に立ち入り検査を行ったことが関係者への取材で分かりました。資料の分析などを行い取り引きの実態の解明を進めるものとみられます。
公正取引委員会は3月4日、関東地方の複数のマンションの老朽化などに伴う大規模な修繕工事をめぐり、
都内などの施工会社およそ20社が、請け負う会社などを事前の話し合いで決める、受注調整を繰り返し独占禁止法に違反した疑いがあるとして、一斉に立ち入り検査を行いました。
その後の調査でさらに数社が関与していた疑いがあるとして、今月28日までに、
東京 中央区の大手ゼネコン清水建設の子会社「シミズ・ビルライフケア」や、東京 港区の「建装工業」などに新たに立ち入り検査を行ったことが関係者への取材で分かりました。
大規模修繕工事は、マンションの所有者などで作る管理組合側が発注して、複数の社の提案を比較検討する「見積もり合わせ」を行うケースが多く、
各社は前もってすり合わせた価格などを提示し、事前に決めた会社が受注できるようにしていた疑いがあるということです。
受注調整は数十年前から繰り返されていたとみられ、公正取引委員会は今後、資料の分析や関係者への聴き取りを行い、取り引きの実態の解明を進めるものとみられます。
施工会社約20社 受注会社や価格を事前調整か 公取委が一斉検査
施工会社約20社 受注会社や価格を事前調整か 公取委が一斉検査
NHK 2025年3月4日 12時50分
関東地方のマンションの老朽化などに伴う大規模修繕工事をめぐり、施工会社およそ20社が受注する会社や価格を事前の話し合いで決める違法な調整を繰り返していた疑いがあるとして、公正取引委員会が4日、一斉に立ち入り検査を行ったことが関係者への取材で分かりました。
立ち入り検査を受けたのは、いずれもマンションの修繕工事を行っている東京・港区の「長谷工リフォーム」や川崎市の「シンヨー」、それに東京・品川区の「中村塗装店」などおよそ20社です。
関係者によりますと、これらの社は、関東地方の複数のマンションの老朽化などに伴う大規模な修繕工事をめぐり、請け負う会社などを事前の話し合いで決める受注調整を繰り返し独占禁止法に違反した疑いがあるということです。
外壁の補修や防水工事などの大規模修繕工事は、マンションの所有者などで作る管理組合側が発注して複数の社の提案を比較検討する「見積もり合わせ」を行うケースが多く、各社は前もってすり合わせた価格などを管理組合側に提示し、事前に決めた会社が受注できるようにしていた疑いがあるということです。
こうした受注調整は数十年前から繰り返されていたとみられ、資材価格の高騰などを背景に住民たちが積み立てた修繕費用が足りなくなる問題が各地で明らかになる中、公正取引委員会は初めて調査に乗り出し、取り引きの実態の解明を進めるものとみられます。
施工会社3社 “コメントできない”
公正取引委員会の立ち入り検査を受けたことについて、「長谷工リフォーム」は「調査中のため、答えられません」としています。
また、「シンヨー」は「現状の把握ができていないので、答えられることがない」としているほか、「中村塗装店」は「担当者が不在でコメントできない」としています。
修繕積立金が不足の中 さらに住民負担増か
築年数が長いマンションが増え、建物の老朽化と住民の高齢化が進む中、適切に管理されない物件の増加が懸念されています。
マンションの経年劣化で外壁のひび割れに雨水が入り込み建物の強度が下がるなどの重大な不具合を防ぐため、国土交通省の2021年度の調査によりますと、大規模な修繕工事はおよそ7割で12年から15年の周期で行われています。
工事の費用は、1回目の修繕については4000万円から6000万円が最も多く、1戸あたりでは100万円から125万円が最も多かったということです。
一方で、こうしたマンションの修繕費などを賄うために所有者が毎月支払う積立金が不足するケースが増えているといいます。
国土交通省の2018年度の調査では、修繕計画に対して積立金が不足しているマンションの割合は34.8%と5年間で2倍以上に増えていました。
積立金の徴収額は築年数などに応じて段階的に引き上げていく方式が多く、この数年は、資材価格の高騰や人手不足で修繕費自体が上昇し、積立金の不足に拍車がかかっていて、徴収額を急激に引き上げて滞納が相次ぐといった事態も報告されています。
このため、国は去年、マンションの修繕積立金などの管理計画のガイドラインを見直しています。
今回、工事を手がける施工会社らが受注調整をしていた疑いが浮上し、公正取引委員会は、本来の工事金額が引き上げられ住民のさらなる負担につながっていなかったか、全容の解明を進めるものとみられます。



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