都内高級ホテルが価格カルテルか
都内高級ホテルが価格カルテルか、公取委が警告へ…15社が宿泊料など情報共有・高騰に影響も
読売新聞2025/04/17 02:00
ホテル同士が宿泊価格などを情報交換していた行為が価格カルテルにつながる恐れがあるとして、
公正取引委員会が近く、「帝国ホテル」(東京都千代田区)など都内の有名ホテルを運営する15社に対し、
独占禁止法違反(不当な取引制限)の疑いで再発防止を求める警告を行う方針を固めたことがわかった。
訪日外国人客の増加などでホテル業界は宿泊価格が高騰しており、情報交換が価格に影響していた可能性もあるという。
公正取引委員会
他に警告を受けるのは、「オークラ東京」(港区)や「ホテルニューオータニ」(千代田区)、「ハイアットリージェンシー東京」(新宿区)
といった都内の有名ホテルの運営会社。
関係者によると、15社のホテル担当者は毎月都内で開かれる会合に参加し、客室の稼働率や宿泊料金の平均単価、
今後の料金設定の見通しといった各社のホテル営業に関する内部情報を共有していたという。
公取委の調査では、各社が足並みをそろえて宿泊代を引き上げるなどの明確なカルテル行為は確認されなかったものの、
実際に他社の情報を基に客室の料金を設定していたホテルもあった。公取委はこうした情報交換が今後、客室の価格を決めるカルテルにつながる恐れがあると判断。
各社に警告を行い、状況を早期に是正する必要があると考えたとみられる。
ホテル業界を巡っては、コロナ禍後に宿泊旅行の人気が戻り、需要が回復している。昨年の国内の宿泊者数は延べ約6億5000万人で過去最多を記録した。訪日外国人客や日本人客が増え、ホテルの需要増に物価高などが重なり、宿泊料金の値上がりが起きている。
15社は既に会合を取りやめており、情報交換もしていないという。取材に対し、
帝国ホテルは「情報交換については、不当な取引制限を意図して行ったものではないが、引き続き全面的に調査に協力していく」などとコメントした。
値上げにあえぐホテル客の影でカルテル疑惑 価格決定に必要な情報は
朝日新聞 真田嶺 小寺陽一郎2025年4月17日 2時00分
公取委の警告対象になったホテル
訪日観光客の復活で宿泊業が活況にわく裏で、高級ホテル15社が価格カルテルにつながる恐れのある非公開情報を交換していた疑いが浮上した。
公正取引委員会は業界全体で営業担当者らが集う会合が行われていたとみる。宿泊価格高騰の中で、消費者の思いに背く行為が続いていた。
都心にそびえる高級ホテル。その一室に都内のホテルの営業担当者らが月に1回程度集い、会合を重ねていた。
会場となったのは、皇居にほど近い中心部から浅草や台場、新宿に至るまでの15のホテル。今は「FR会」と呼ばれるこの会合は、回り持ちで会場を変えながら長年続いてきた。
今後の客室の単価をどう設定するかなど、非公開で機微な情報がやりとりされた。
担当者による情報交換は高級ホテルだけでなく、ビジネスホテルなど様々なホテルの間でも繰り返されてきたという。
独禁法違反疑いで警告対象となったホテル
その裏で、価格高騰にあえぐ利用客がいた。
兵庫県内の公務員の50代男性は今年1月、東京へ旅行した際、宿泊価格に驚いた。
ビジネスホテルで1泊約2万円。以前の2倍近い金額だった。往復の交通費を含めると苦しく、横浜市内で安いホテルを探した。
この際は中国の大型連休「春節」に近く、訪日観光客が多い時期だったため、「仕方ないか」と諦めていた。だが、今月も上京しようとホテルを探したところ、
価格の高止まりは変わっていなかった。東京近郊も軒並み値上がりしており、上京を断念した。5月に再挑戦する予定だが、日帰りを検討している。
「価格の変化が大きすぎてついていけない」と漏らす。
- 浅草ビューホテル
- 帝国ホテル東京
- グランドニッコー東京台場
- ハイアットリージェンシー東京
- 京王プラザホテル東京
- パレスホテル東京
- ザ・プリンスパークタワー東京
- ホテル椿山荘東京
- シェラトン都ホテル東京
- ホテルニューオータニ
- The Olura TOKYO
- ホテルメトロポリタン(池袋)
- セルリアンタワー東急ホテル
- ロイヤルパークホテル
- 第一ホテル東京
ホテル15社に警告へ 客室単価など情報共有―カルテルの恐れ・公取委
時事通信 社会部2025年04月17日11時58分配信
帝国ホテルなど東京都内の高級ホテルを運営する15社が、価格カルテルにつながる恐れがある客室単価などの情報を共有していたとして、 公正取引委員会が独禁法違反(不当な取引制限)の疑いで警告を出す方針を固めたことが17日、関係者への取材で分かった。 トラック架装でカルテルか 新明和工業など立ち入り―公取委 既に各社に警告案を通知しており、意見を聴取した上で最終的に判断する。 コロナ禍後、インバウンド(訪日客)急増などでホテルの宿泊料金は高騰。公取委は、警告を出すことで早期是正を促す。 15社は帝国ホテルのほか、ニュー・オータニ、京王プラザホテル、ホテルオークラ東京、パレスホテル、西武・プリンスホテルズワールドワイド、藤田観光など。 関係者によると、15社の営業担当者は毎月会合を開き、客室の稼働率や平均単価など各社の内部情報を共有。会合は担当する社が場所を提供し、数十年前から行われていたとみられる。現在は開催されていないという。 公取委は、各社が会合を通じて宿泊料金の維持や引き上げをしていたとまでは確認できないものの、各社間の情報共有が宿泊料金に影響を及ぼした可能性があるとみている。
都内大手ホテル カルテル・独禁法違反のおそれ 公取委が警告へ
NHK 2025年4月17日 15時16分
都内の大手ホテルを運営する15社が客室単価などの内部情報を共有していたことがわかり、公正取引委員会が不正に価格を引き上げるカルテルにつながり独占禁止法違反にあたるおそれがあるとして、近く警告を出す方針を固めたことが関係者への取材で分かりました。 警告を受けるのは、都内にある「ホテルニューオータニ」や「帝国ホテル 東京」、「The Okura Tokyo」などの大手ホテルを運営する15社です。 関係者によりますと、15社の営業担当者らは毎月、都内で開かれる会合に参加し、客室の稼働率や平均単価、将来の客室単価の設定方針などの内部情報を共有していました。 会合は「FR会=フロント・リザベーション会」と呼ばれ、各ホテルの持ち回りで数十年前から行われていたとみられ、公正取引委員会の調査では実際に宿泊料金を一斉に引き上げるなどの行為は確認されませんでしたが、共有された他社の情報を参考にして宿泊料金を設定していたホテルもあったということです。 公正取引委員会は、情報共有が今後、不正に価格を引き上げるカルテルにつながり、独占禁止法違反にあたるおそれがあるとして、再発防止を求める警告を出す方針を固め、各社に通知しました。 15社は、すでに情報の共有をやめているということです。 都内のホテルの宿泊料金はコロナ禍のあと、訪日外国人客の増加などで値上がりが起きていて、宿泊料金が高止まりするなかで公正取引委員会は早期の是正が必要と判断したものとみられます。 警告対象のホテル一覧 公正取引委員会の警告の対象となっているのは、いずれも都内にあるホテルを運営する15社です。 ※五十音順
- 「浅草ビューホテル」
- 「グランドニッコー東京 台場」
- 「京王プラザホテル」
- 「ザ・プリンス パークタワー東京」
- 「シェラトン都ホテル東京」
- 「The Okura Tokyo」
- 「セルリアンタワー東急ホテル」
- 「第一ホテル東京」
- 「帝国ホテル 東京」
- 「ハイアットリージェンシー東京」
- 「パレスホテル東京」
- 「ホテル椿山荘東京」
- 「ホテルニューオータニ」
- 「ホテルメトロポリタン」
- 「ロイヤルパークホテル」


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